【後編】AI作曲の展示にチャレンジ! at Maker Faire Tokyo 2025
中編では、体験者が入力したメロディ・AIが考えたコード進行を合わせ、結果を自動演奏で出力するために楽器ガジェット『かんぷれ』を使った理由、様々なプログラムのやり方からどんな方法を選んだかを解説しました。
それでは後編です。コード進行を作り出してかんぷれで自動演奏させることができるようになったので、そこにいよいよメロディを合わせていきます。
ハードルの低さを大事にする
Maker Faire Tokyo 2025 necobitブース。写真右側のロボット”ねこびっとくん”が音声案内で進めていく。
ここでのポイントは、メロディの収録時には音程だけを8個採取しているということです。リズムは入力された8個のノートに対して適当に音の長さを指定して4小節の中に収まるようにしました。
🤔なぜ? リズムを意識して演奏してもらうことは意外とハードルの高い要求です。「メトロノームに合わせて弾いてください」なんて言われたらそれだけで🔰音楽未経験者は体験そのものを敬遠して去ってしまう…これ実際かなりあるんです💦
なので、体験者はとにかく音を8個=好きなボタンを8回押せばいい。AIねこびっとくんがそれにリズムをつけて4小節のメロディにしてくれます🤖🎶
📝音楽経験者にとっては、瞬時に考えた8音のメロディをせっかく入力したのにリズムがその通りに録音されないなんて悶々としてしまうところですが、イベント来場者の大半は科学や工作の体験に興味がある親子連れです。出展ブースもかなりの数ありますから、通りすがりの1回目で楽しかった!体験になってもらうことをとても重要視しています。
また、コチラのポスト👇では、OriHime パイロット ことのはさん による AI作曲ねこびっとくん体験を動画でご覧いただけます。音名をひとつずつ選んでいただき👨🦲necobitカワヅが代わりにボタンを押して入力しています。生成された音楽も聴けますよ♪
音が音楽になる情報量
大規模イベントでの体験者を見る限りでは、ついさっき自分でボタンを押した8つの音と、生成結果として目の前で自動演奏で鳴ってるメロディが、その通り同じかどうかはほとんど気にされていません。わりと。
でも、
-
自分が入力したものが返ってきたんだな?と、分かる
-
ひとまとまりの音楽だな?と、思える
演奏・作曲経験なくても☝️これが実感できる生成結果…どれくらいかな〜💭いろいろ試してみた末
8小節のコード進行+入力された8音を1回ずつしか使わない4小節のメロディを2回繰り返し
コード進行は8小節あれば分かりやすく起承転結できます。するとストーリーめいたものが感じられるようになるので、聞いてすぐに「あっ音楽になった!」と思ってもらいやすいです。その楽しさです。
コチラは👇AI作曲ねこびっとくんが生成したR&Bのコード進行🎼動画で聴けます。
コード進行に合わせてメロディも8小節ぶんにしようとすると、入力のハードルが上がってしまいます。8個選ぶが16個になっちゃうと、時間かかるしめんどくさくなるし何押したか覚えてないし…
また、入力メロディの続きをAIが作ってワンコーラスにするとかも考えたのですが、そうすると結果を聞くだけの時間も長くなるし🙂なんかよくわかんないけど音楽かかったな〜みたいな印象になって、体験としての楽しさが薄れてしまうのでこのようになりました。
音楽ジャンルの違いをかんぷれ伴奏でわかりやすく
🤖AI作曲ねこびっとくんは、コード進行を考える際に💭
-
ポップス
-
ロック
-
R&B
-
ハウス
-
メタル
-
ジャズ
-
バラード
-
ファンク
から、ランダムでひとつジャンルを選択し、それっぽい8小節のコード進行を生成します(バラードはなぜか苦手だったらしくおかしなコードばかり出してくるので展示1日目早々に封じていたのは内緒です)。このジャンル機能はなくてもいいけどあったほうが体験展示の楽しさが上がります。自分の前にやってた人のとどう違うのかわかりにくい結果はあんまり面白くない…。
コチラは👇AI作曲ねこびっとくんが作ったロックのコード進行🎼動画で聴いてみてください。前述の動画のR&Bコード進行と違いはわかりますか?
ジャンルのそれっぽさを決める要素、コード進行以上にドラムやギターやピアノなど楽器のリズムパターンの違いの方が「ロックっぽい〜」「ジャズっぽい〜」が伝わりやすいです。
この、伴奏リズムパターン各種をまとめて作れて、しかもジャンルごとに切り替えてAI生成コードと連動でき、MIDI制御で自動演奏できる、そんな便利なガジェットが『かんぷれ』です。
トリッキーな方法でジャンル切り替え伴奏
かんぷれのシーケンサー仕様は、6チャンネル x 64ステップ x 8スロット(2026年1月時点)
ひとつの曲データで8つのスロットを持っており、その8スロットに好きな楽器の組み合わせで自由に演奏データを入力できます。 1つの曲データの中でスロットごとにAメロ、Bメロ、サビなどのパターンを作って切り替えながら演奏するのが通常の使い方です。
AI作曲ねこびっとくんの展示では、大変トリッキーなスロットの使い方をしました。
スロット1にロック、スロット2にポップス、スロット3にハウス...のように各スロットに全く違うアレンジの演奏データを入力します。
中編で説明したとおり、かんぷれはほぼすべての操作を外部からのMIDIデータでできるため、AIがジャンルとコード進行を決めたら、それを考えさせたMacからスロットを選択するデータを送信して、その後に演奏データを順番に送信すると適したジャンルの演奏が流れてくれるようになります。
物理的なモノが演奏してくれる面白さ
かんぷれは伴奏部分の演奏担当です。肝心なメロディパートを演奏する楽器を準備しなければなりません。necobitの作った自動演奏楽器各種から、今回はいちばんコンパクトで鳴らすのがかんたんな自動演奏ミニグロッケンを使いました。
これが大正解だったんです👨🦲✨
いわゆるピアノの白鍵しかないシンプルなおもちゃ鉄琴(goldon GD11030)例によって元の形状を全く壊さずに自動演奏化。取り外せば買った時と同じ状態。
AI作曲ねこびっとくんの生成結果は、自動演奏楽器ではなくシンセから音を鳴らすこともできるので、自宅での試作時はずっとソフトシンセから音を出していましたが、これが全然面白く感じないのです。
Maker Faire Tokyo 2025の1週間前になってようやく本番環境と同じく、ミニグロッケン・かんぷれで自動演奏させて音を出し、ようやく展示として成立させられるとホッとしたのを覚えています。
…なんなんでしょうね。目の前でモノが実際にわちゃわちゃ動いているということの面白さ。
その理由は、メカのさまざまな条件によるゆらぎが独自のグルーヴを生むからではないかな〜と思います。
ミニグロッケンの鉄板をバチが叩く仕組みは全部同じですが、叩く強さやスピードはそれぞれ差があります。それで困ることも時にはありますが👨🦲💦正確で均一でないことが生む個性は、見る人を惹きつける魅力を持っています。
実際展示してみて、やっぱりそれでよかったこと
音符の入力を🎹鍵盤ではなく🔘ボタンにしておいて本当によかったなーと思いました。
なぜなら、鍵盤がドーンと置いてあって「さあ弾いてください」という感じだと、それだけで鍵盤で演奏できない人がサーっと通り過ぎてしまうからです。
入力デバイスが鍵盤であっても、こちらがあらかじめ指定した音程だけを押してしかもリズムもないので適当に8つの音を押せば良いだけという仕組みは作れます。ですが、
鍵盤が出ている=音楽できる人が体験する展示
というラベリングがされてしまうのです。そうなってしまうといくら「押すだけで弾かないでいいんですよ」と言っても避けられ率は上がってしまいます。
というわけで、入力は鍵盤ではない方がよい、という判断でした。
この辺はどんな人をターゲットにするかで変わるところなんですが、 necobit はみんなに面白がってもらいたいので今回は鍵盤をなくすという選択をしました。
ローカルLLMはクラウド系に比べるとクオリティが低いとかは良く聞く意見なのですが、まあなんでも使いようだなぁと思う作品ができたので自己満足度も大変高い展示になりました。
作り込んでいくのは大変な内容ではありますが、進歩の余地もまだまだたくさんあるなーという内容だったので、しばらくこの方向性でやってみたいな、となんとなく思っております。
Maker Faire Tokyo 2025 展示終了直後
✉️ ご意見・ご質問を necobit に送る✉️
-
匿名で送りたい方はコチラ👇
-
X(旧ツイッター)で送りたい方はコチラ👇
-
メールで送りたい方はコチラ👇
***
すでに登録済みの方は こちら