『電子工作と僕。MIDIメカニカルシステムができるまで』
父親がPC-98DOを買ってきた。
平成元年(1989年)に発売された CPU 10MHz,メモリ 640KB のパソコンである。それでカタカタBASICプログラムをしていた10歳の頃に、
👨🦲「このプログラムで、パソコンの中では色々面白いことが起きている。けど、
パソコンの外のものを動かすことってできないの?」
漠然とそんなことを思っていた💭しかし周りにこの疑問に応えられそうな人はいなかったので、それは口にすることも無いまま時は流れる…
プログラミングによってパソコン搭載のFM音源で音楽ができると知ってからは、パソコン通信(インターネットの前身)でデータ投稿するほどDTMにのめり込み…
コチラの記事後半でも👇このことに触れています
20代の頃はプログラミングよりも、パソコンで音楽を作ることの方に慣れ親しんでいました。
MIDI制御機器との出会いとすれ違い
そしてはじめて仕事でアミューズメントに関わった時。そこにあったのはMIDI信号を変換して機械を作動させるものでした。音楽と同期して人形などを動かすのに使われていたのです。
👨🦲「これがあればパソコンの外のものが動かせる!しかも手慣れたMIDIで!」
…と気づいたものの。当時の necobit にはまだ電子工作知識は全くありません。ゼロです。知識が無いということは、取り入れ方のイメージすら湧かないのです。どう使えばいいか結局よくわからないその基板の中身に、それ以上の興味を持つことはできませんでした。
ここでお気づきの方もいらっしゃるでしょう。この時見たものは、necobit の代名詞「MIDIでメカを動かす」ことができる基板の原型のようなものだったのです。
出会いはしたものの全然繋がってないこの状態で、既に社会人な20代。ここから、こんなことできたらいいな💭が necobit 製品 MIDIメカニカルシステム として実現するまでの人生グニャグニャ紆余曲折を見てみましょう。
👨🦲「マイコンとやらを使うとMIDIと現実世界を繋げるようだ」
ということを知った平成も後半。iPhoneの発売やらTwitter日本語版のスタートやらもあった情報溢れるインターネットへさらにアクセスしやすくなった時代です。明確な検索キーワードでなくても、それっぽい人や近いことをしている作品から自分の知りたかったことに辿り着けるようになってきました🌐
とにかくネットや本で調べたことを真似してやってみる。
コチラはMIDIコネクタに挿したLEDが打鍵に応じてチカチカ光る、という動画。
💡鍵盤を押した時・離した時にそれぞれ光っていることにご注目ください👀鍵盤を押すと=ノートON・鍵盤を離すと=ノートOFF、というMIDI信号が送信されるため、MIDIケーブルをつなぐコネクタ部分にLEDを挿すと送信されている信号をLEDが受けて光るというわけです。
これはただ信号を受けて光る、それだけなんですが…! necobit にとってパソコンの中にしか無かったMIDIを現実世界に引き出したはじめての経験です。
👨🦲「こ、こ、これだーーーーーーー!!!!!!」
その喜びの勢いで、PICマイコンを使うための一式をごっそり揃えました。コチラのブログには👇当時のワクワク感が残っています(ブログ内の動画は現在再生できません)。
どうにかこうにか、人様の書いたプログラムコードでMIDIを外部へ送信するところまではたどり着いた、が、しかし…その先には自分で回路を組んでアセンブラでコードを書くというナニソレ工程が。当時ソフトもハードもゼロからのスタートだった necobit にとって到底無理だったのです…。
そしてPIC関係の物は押し入れの奥深くへ封印され、永らく電子工作らしい工作からは遠ざかっていたのでした。
ありがとうArduino!ありがとう先人の知恵!
そうしてさらに時は過ぎ、平成もいよいよ末期になりました。ここへきて Arduino なら簡単にMIDIが使えるという情報に出会う。
電子工作グッズもろとも押し入れに放り込んで数年の状態…ネットでも現実でもそっち系の繋がりはほぼありませんでしたが、出会うときは出会うもんです。
とっかかりが掴めれば、どんどん調べて必要なものを揃えていく。当時のブログ記事はコチラ👇
すごい。PICマイコンなんもわからん💧から約10年。時の流れは、一度挫折した necobit にとても優しかった。
先人たちの力により、この当時すでにMIDIを扱うためのライブラリが確立していて、簡単なコードを書くだけ!でMIDI制御が可能になっていました。ソフトもハードもお膳立てされており、Arduino に挿すだけでLEDを意図した通りに点滅させるなどのMIDI制御ができるのです。しかも親切な解説WEBサイトもたくさんある。
ここから正式に necobit のMIDIによる機械制御が(やっと)始まったと言えましょう。そこからは速かった💨💨💨
Arduino のおかげで、「これをこうしたい」のために必要な「これをこうするとこうなる」知識を一気に覚えることができました。
3年ほどで開発は進み、平成30年。Maker Faire Tokyo 2018 に 自作開発製品 MIDIメカニカルシステム を使ったMIDI制御の自動演奏楽器を出展し、necobit のメイカー活動も本格的にスタートしたのです!
出展準備のあれこれ・当日のお客さんの反応から感じた手応えなどをひたすら語った動画は👉コチラから
Maker Faire Tokyo 2018 necobit 展示解説パネル
スタート当初からMIDI制御システムとして完結したラインナップになっています。販売MIDI制御基板4種・参考展示MIDI制御基板2種、自作基板だけ展示しても何だかわからないだろうと使用例デモンストレーションとして自動演奏グロッケンを置きました(コレがかわいいかわいいと好評で本当に嬉しかった。感涙)あと気軽に買ってもらえそうな電子工作イタズラグッズも。
元号も令和となった2021年の現在では、MIDIメカニカルシステムはバージョンアップとコストダウンを重ね、さらに初心者・未経験者向け製品も加わっています。全ラインナップは👇コチラからどうぞ。
これをこうしたい、を実現するために色々やるだけ
さて。この話…。子どもの頃の夢を叶えました話というと、なんか違和感ある。
具体的な「これをこうしたい」は、何を調べればわかるのか、どんな知識や技術や道具が必要なのか、とっかかりを掴むことさえできれば進めることができます。才能は二の次です。ついでに言えば努力も二の次でしょう。頑張っているというよりは、実現したいからそのためにはあの手この手をとにかく色々やるしかない。その繰り返しの結果「これがこうなった」という…
MIDI信号で、パソコンの外にあるものを動かす。
necobit の MIDIメカニカルシステム構想が生まれるまでの話でした。
Arduino にちょっと興味が湧いた人へ
Arduino 公式サイトは👉コチラ
すでにできる人からすると Arduino は機能中枢が隠蔽されていて逆に面倒に見えるかもしれません。が、初学者にとっては絶妙なバランスでとても使いやすいので超お勧めです!
世界中の Arduino ユーザーがこれを使って様々な作品をつくっているので、チュートリアルも応用もすぐに調べることができるのもいい!
例えば risgk さんの作品。見てみて聴いて👀👂
Digital Synth VRA8-Q(Arduino Uno用) on Fabble 詳しい解説も👉コチラで読めます。
Arduinoって何?から始まり世界中の作品がどんどん出てくるこの動画も面白いですよ(日本語字幕あり)👀
さてその一方で、チュートリアルまでやってみたものの「Lチカの後、何したらいいかわからない」というのを聞くことも実際に多いです。
💡LチカとはLED点灯のことです。Arduinoに限らず電子工作のはじめの一歩。信号が正しく回路を通っていることの確認作業。
necobit の場合は「Arduino で MIDI が扱える」とわかった時点で、何だと!例えばどんなことができるの?どうやるの?Arduino って何?どこで買えるの?どう使うの?どんどん進めていきました。Arduino で何をするかというよりは、自分のやってみたいことはコレを使えばできる ですね。
その出会いへの簡単な近道は、人の作品をたくさん見ること。これは自分のやりたいことに近い!と思えばどんどん首を突っ込みます。
やりたいことが(今できるかどうかに関わらず)無限にある、というのが元々の状態なので、それをひとつずつ実現していくのに necobit はこれからもずっとこんな感じでやっていくことでしょう。
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次号のお知らせ
2021年4月17日、24日、5月1日のねこびっと通信はイベント告知のみの内容を配信いたします(WEB版に告知配信はありません)。
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2021年5月1日(土)オンライン配信ライブ DIY MUSIC on DESKTOP 2021 出演
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2021年5月29日(土)デザインフェスタ Vol.53 出展
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Maker Music Festival 動画投稿参加
…というわけで、これからイベント準備に集中いたします…
5月8日は、necobit 初の生演奏ライブとなる DIY MUSIC on DESKTOP 2021 の㊙️話をたっぷりお届けします。それでは次回のねこびっと通信まで、お楽しみに!
necobit
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