『音色変化を遊んでみる KORG Gadget 2 で作編曲!』
🏆2022/08/31追記:この曲は GadgetSonic 2022 🔥RED STAGE🔥SONIC OF THE YEAR を、いただきました🙌
頭に浮かんだものが現実化、これほどスッキリするものはありません✨でもなんとな〜く後回しにしがちなら、〆切があるチャンスを使えばいいじゃない。
というわけで今年も❗️KORG Gadget だけ でつくる 作曲コンペ「GadgetSonic 2022」に参加しました。
📝KORG Gadget は iOS版(iPhone, iPad)・Mac版・Nintendo Switch版 があり、すぐにそのまま使えるカッコイイ音色がたっぷり入ったお得すぎる音楽制作アプリです。他に機材をアレコレ接続する必要もなく、デバイスさえあればどこでも曲が作れる(実際に指操作だけで使うユーザーも多い)。作曲/DTM初心者さんほど強力にオススメ。
GadgetSonic 2022 ねこびっと作品はコチラ
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity
→ 🔊SoundCloudで曲を聞く(より高音質)
どうやって作った?
妄想を固めていく
音楽の発想アプローチは千差万別。メロディから作る人、歌詞から作る人、音を鳴らしているうちに何かできてくる人、物語やイラストを作ってから着想する人、などなど…。
necobit の場合は、脳内で突然CDが再生される🧠🎶という感じで全て完成した音楽が鳴ります。思いついた瞬間にできてる💡しかし脳内音楽はとんでもなくフワフワしているので、ちょっと余計なことを考えてると消えてしまいます。
📝これなんでいきなり完成形なのか(推測ですが)…興味のあるものや影響を受けているものなどが無意識のうちにブロック遊び的に組み合わせられていて、とある瞬間の状況をきっかけに意識の表にあらわれるんだと思います。この時は Jazz FM を聴きながら 木星買います を読んでいたのがスパークしたんですね。たぶん
古いピアノと機械
登場人物はこれだけです。この曲の場合、ストーリーめいたものは必要無かったのですが、シチュエーション妄想は掘り下げていきます。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity KORG Gadget 2 iPad版の画面
ロボットなのかコンピュータなのか
SFによくある巨大すぎるコンピュータ。会話で問答し自分で思考して判断し自身の感情や要望すらあるやつ。KORG Gadget 上ではそれぞれ音色の違う4トラックに分かれています。
ピアノは誰が弾いたのか
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その場にいた人間が演奏し機械が合わせている
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機械が独自に生成している
結局謎のままにする…案も浮上しましたが
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出所不明の発掘音源
というわけでどこの誰が弾いたかもわからない古いカセットテープから鳴る音に設定。
📝細かいこと決めなくても音楽は作れます。「ここどっちの音にしようかな〜〜」など迷った時にこそあるべきものをチラつかせてくれるので、イマジネーション広げといて損はない。AメロとBメロの間に幕開け感をはさむショータイム風味な曲展開、サビの3・4小節目を緩く流してしまうところなどなど…人間の干渉が薄い(=人間よりも立場が強い)機械独自の音に対するお楽しみがあらわれています。
そうこうしていると各トラックの音色が決まる
妄想設定は、KORG Gadget をつつきまわして「コレだー!」と思う音色を探しながらやります。(⚠️音作業とセットで妄想しないと時間だけ溶けてしまうぞ🫠)
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 1 Tape(古いカセットテープのピアノ) 使用音色
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 2 Machine 1(メロディ) 使用音色
機械が歌うメロディ↑ と コーラス↓ 元々は同じ音色。各パラメータの調整やエフェクトの種類が異なることで、メロディは主役らしい音・コーラスはなじみやすい音になりました。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 3 Machine 2(コーラス) 使用音色
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 4 Machine 3(キラキラピコピコ) 使用音色
巨大なコンピュータのあちこちが(よくわからんが)光っている様をあらわすトラックです。もともと「Temple Bell」という名の音色だけあって、ガムランやシタールのようにも鳴る、エフェクトの掛け具合・音域やデュレーション(音の長さ)次第でトイピアノやトライアングルのようにも。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 5 Machine 4(ノイズ) 使用音色
ザーとかガガガピーとかジジッとかいう軽めノイズです。リズムをやるとか音楽めいたことはしない本当にノイズのトラックです。音域・音の長さ・エフェクトの掛け具合で幅広く変化させることができます。
📝キラキラピコピコとノイズのトラックは無くても曲が成立します。ですが!
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機械が人間の歌を真似て遊んでいる
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人間の歌い方を機械に再現させる
この曲は 1 の視点👁。2だったら機械っぽいけどもっとクリーンな音色でぜんぶまとめるだろうなぁ…💭
つぶれてる方がリアリティ
さあどんどん音を入れていきましょう(忘れないうちに)。昨年はまず88鍵電子ピアノで曲を作って楽譜に起こしたものをKORG Gadgetで編曲する方式でしたが、使い方も慣れた今年はいきなりKORG Gadgetで作ります。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 1 Tape Aメロ部分
KORG Gadget のピアノ音源「Salzburg」は、生々しい鍵盤タッチの再現など細か〜〜〜〜い作り込みにも対応しています。でも今回はカセットテープの設定なので!
既に音色作りの段階で、音の高い成分と低い成分をカットしてラジカセから鳴ってるような響きにしてあります。そこにさらに弱く弾いた音なんか入れても潰れて聞こえなくなっちゃうだけ!目立たせたい音・平均的な音・引っ込めたい音の3段階で平坦に強さを分ける程度に。
さらに、37鍵のMIDIキーボードを使い🎹ピアノ・メロディ・コーラスはやたら広い音域を使ってしまわないように制限をつけながら作りました。
わざと潰した音質を使いながら音楽全体ではパワフルなダイナミクスを出しやすくするためです。
📝聞けばすぐわかると思いますが、ピアノはクオンタイズ(拍子に自動的に揃えてくれる機能)不使用どころかメトロノームも聞かずに録音した部分すらあるへろへろ手弾き入力。
曲中の音色変化こそモノを言う音楽だった
機械の視点👁とは言っても、作曲者はどうしても人間なので。
楽曲そのものは人間が歌って気分のいい音。つまり人間にとって聞き慣れたメロディとコード進行。
そこでふと気づいたのが
機械っぽい音色なだけじゃ、聞き手に単なる「ふつうの曲」としか伝わらないのでは🤔?
さてどうするか。
機械に親近感をもつとき
それはどことない人間味。
人間が盛り上がるとき
そこに生ずるのは揺らぎ。
💡✨
ピアノの所々にモジュレーション(ビブラートみたいな音の揺れを出す機能)をかける。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 1 Tape モジュレーション
カセットテープのへろへろ感が増します。
📝さらにピアノは全編通してピッチベンドをわずかに下げっぱなしにしています。
機械が歌うメロディとコーラスも、こっそりと要所にだけモジュレーションをかける。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 2 Machine 1 モジュレーション
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 2 Machine 1 FAIRBANKSガジェット画面
メロディとコーラスに使った「Talking Beep」は、モジュレーションホイール(左の灰色レバー)を上げることで、R2-D2を超早口にしたような🤖🗯古典的ロボット喋りっぽくなる音色です。右の水色つまみの設定値で、喋り具合を調整できます。
ポンコツ感にならないようwちょびっちょびっとかけました。
📝メロディとコーラスは要所のみピッチベンドでいわゆる「歌のしゃくり」をつけています。コレにモジュレーションを合わせると、とってつけた感が軽減され(ることもあり)ます。
もう一歩、音を押す
音色に揺らぎ成分を増し、音数・リバーブ感は少なめのままでも混じることで広がる感じが出てきました。そしたら、盛り上がってるところはもっと盛り上がりたくなるじゃない。
声を張る
「歌う」にはやっぱりあるべき。どうやったら(ビープな音色で)声を張れるのか。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 2 Machine 1 サビ前半部分🔊のエフェクト
ディストーション。ギターのぎょわ〜〜〜〜んです。意外にも声の張り表現としてうまいこと効きました。
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声を張らせたいところでゲインを上げる
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音割れそう・高音域はゲインを下げる
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ゲインを下げても迫力は残したいところはレベルを上げる
基本的にはこんな感じで使用。
📝コーラストラックのエフェクトは Distortion ではなく Talking Mod 。アーとかウーとか母音変化だけではなく、フルートっぽく鳴ったりハーモニカ和音のように鳴ったり…Formant と Offset 2つのパラメータの組み合わせ次第でかなり多彩な音が出ます。「張り」とは違いますが「開く/萎む」感覚で、曲中ぐりぐり〜〜っとツマミ回したり、1音ごとに点で切り替えたりしています。
低音を膨らませる
機械の歌声に「張り」が出たら、ピアノの迫力負けが気になってきた…。カセットテープだから!理屈を優先するよりも、全体バランスを合わせる方が良きかな。
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 1 Tape サビ前半部分🔊のエフェクト
先述のディストーションと見比べてみてください👀声の張りを弱めたところでピアノの低音成分も弱め、声が張ってきたところに合わせて再び低音成分が増しています。
📝低音成分ではなく空間に変化をつけたいところは、Danper / Layer Level・ Release Time を使いました。掛けるとこ掛けないとこの差により、水中の浮遊感のような動きが感じられてなかなか面白いです。
太いノイズを足す
Track 5 の軽いザザッ・ジーなノイズよりも重い、ブゥーーンなノイズ。ただしトラックを増やさずに…出音に沿ってノイズが鳴るのがいいな💭
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 1 Tape 冒頭🔊
KORG Gadget をあちこちつつきまわした結果、ピアノに iFX の Decimator を使うことにしました。画像は曲の一番最初(再生音量が低いとわかりにくいですが)ベロシティは 0 なのでノイズだけが鳴ります。
この Decimator はノートオンに沿って鳴るほか、ダンパーペダルなどで残響があるうちはノイズが鳴り続けています。まぁコレが気分のいいこと……🤤
ですが!心を鬼にして👹!
♪ 歌をおぼえたカラクリは。 Singing in the Electricity Track 1 Tape サビ後の落とし所🔊
掛けたいところに掛けたらスルスル下げていく!オイシイものほどちょっとだけ!!
あとは細かいところを手直しして………
完成〜🙌
動画版は、各トラックのガジェット・ピアノロール・オートメーション画面を盛り込んだ映像になってます。どこで何をどう掛けたのかなんとなくわかりますよ👀
映像は、GadgetSonic の採点に何の影響も与えないのは百も承知。でも個人的には音楽とセットでひとつの表現…というか映像も音のひとつ…みたいな感覚なので、曲に1週間・動画に3日💦ギリギリ応募最終日に間に合いました。
GadgetSonic 2022 全エントリー作品は👇コチラで聴くことができます
3週間ほどの応募期間に、数曲(10を超える方も…)エントリーする方が多いことには、毎度驚きしかありません💧
📝YouTubeで応募するつもりが、Loudness Normalization 問題が発生してしまい、YouTube側で自動調整されないところまで動画編集ソフト上で音量を下げたものをアップロードし(それでもちょっと下げられてる)、応募は SoundCloud にアップロードしたものを使いました。
おまけ 美しき歪みの切れ味
ジリジリジリジリきます。じっくりお楽しみあれ。
ぜひご意見ご感想もお寄せください
こんな方法もあるよ! 自分ならこう作る! ここはどうやってるの? などなど…。多数お寄せいただけると、増刊まとめ号の発行もあるかも🦆💭
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それでは次回のねこびっと通信まで、お楽しみに
necobit
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