『開発秘話 M5Stack用MIDIモジュール 2』

M5Stack社CEO Jimmy Lai から直に助言や提案をいただき、深圳スピードをびしびし味わいながら製品化を進めていった2019年の開発話を。
necobit
2021.05.22
誰でも

necobit の M5Stack用MIDIモジュール について

M5Stack で MIDIを扱えるようにするための拡張モジュール製品です。

M5Stack用MIDIモジュール。左:初期版 右:2
M5Stack用MIDIモジュール。左:初期版 右:2

2018年秋に初期バージョンを発売(当時の紹介動画は→コチラ)。

今回はここから1年ちょっとかけて、機能改善・追加+デザインまでもパワーアップ! M5Stack社との共同開発🤝となった「M5Stack用MIDIモジュール 2」ができるまで。CEO Jimmyとのやりとりを中心にものづくり経緯をお話しします。

🤔…ちょっとその前に、そもそもM5Stackってなに🔲?

☝️👨‍🦲液晶ディスプレイ付きマイコンボードです。

m5stack.com

追加モジュールやプログラミング、そして何よりユーザーのアイデア次第で、それはそれは色々なことができます。

M5Stack できること」「M5Stack 初心者」などのキーワードで検索すると、解説サイトがたっぷりヒットしますよ。興味湧いた方はぜひ調べてみてくださいね🔍沼へようこそ〜

それでは、necobit 製品 M5Stack用MIDIモジュール 2 開発話を始めましょう。

目標1:初期版の不満点を改善する

初期バージョンは M5Stack 本体側スピーカーが音割れしてしまうという問題がありました。

解決策は、デフォルトの GPIO25 ではなく GPIO26 から外部スピーカーやレコーダーに接続するためのラインアウトを出すことにしました。

☝️👨‍🦲GPIOとは、信号の入出力をするところです。

目標2:パルス信号による同期ができる出力の搭載

もう片方の出力からは、5Vパルスを出せるようにしました。この機能搭載によって、別の電子楽器を同期再生させるなど、音楽ライブパフォーマンスにも使える幅広い楽しみ方ができるようになります。

 

2019年春頃、この2つの目標を掲げて次バージョンの開発をスタート!この時はデザイン変更は特に計画していませんでした。

が………!!!!!!

突如降ってきた公式からの提案:Base26ケースを基本とし本体シルエットにすべて収まる形での設計

次のはこんなふうにしたら?とM5Stack社CEO Jimmyから提案が!

開発スタートしたばかりの2019年2月末から3月頭にかけて、中国のシリコンバレーとも呼ばれる深圳へ🛫メイカーを対象としたツアーで企業見学は「何か作ったものを持参する」が条件。

M5Stack社への訪問もコースにあったので、ここぞとばかりに necobit 製「M5Stack用MIDIモジュール(初期版)」を持って行って見てもらい、ついでにひとつサンプルもプレゼントしてきちゃいました。

初期版は M5Stack と合体するとMIDIケーブルを繋ぐ部分が横に張り出していたのです。(動画は<a href="https://youtu.be/K4kzAj9v4zk?t=387">→コチラ</a>)
初期版は M5Stack と合体するとMIDIケーブルを繋ぐ部分が横に張り出していたのです。(動画は→コチラ

すると…その訪問から1週間も経たずして!!!ぽーんとTwitterで送られてきたケース改良案!!!

M5Stack社はこのような👇製品も出していて、ユーザーの拡張モジュール開発しやすさをずんずん後押ししています。

www.switch-science.com

この Base26 (つまり M5Stack 本体と合体させる拡張部分)を基本に、MIDIケーブルを接続するところなどはオリジナルカスタマイズして、M5Stack本来の🔲真四角スタイルを損なわないデザインに設計変更することに!

CEOの仕事もめちゃめちゃ忙しいはずなのに、個人メイカーに向けてどんどん送られてくる案。(元ツイートは→<a href="https://twitter.com/M5Stack/status/1124700941276655616">コチラ</a>と<a href="https://twitter.com/M5Stack/status/1125705211077627905">コチラ</a>)
CEOの仕事もめちゃめちゃ忙しいはずなのに、個人メイカーに向けてどんどん送られてくる案。(元ツイートは→コチラコチラ

上記ツイート画像はBaseX という別のベースモジュールですが、新開発品をすぐに「コレちょうどいいんじゃない?」と提案してくれたところ。

何も necobit に限った話ではありません。こんなふうに M5Stack社は、ビジネス関係でもない個人ユーザーの Make も気に留めてくれるんです。技術者立場のフランクな視点で見てもらえるところが、みんなをひきつけてやまない魅力なのでは?

ここに配置されたボタンは、ニュースレター上でのみ押すことができます。

イベント出展と並行しつつ、基板とプログラムも進める

2019年の夏は、6月 NT金沢・8月 趣味TECH祭 などなど出展も目白押しでした。

Jimmy からどんどん送られてくるケース案を進めながら、イベントで展示する新しいMIDI自動演奏楽器を作りながら、肝心な基板そしてソフトウェアプログラムの製作も進めていきます。

🤔基板てどうやって作るの?

☝️👨‍🦲近年、個人でも発注できる格安の基板製造サービスが普及しています。電子回路用のCADで作ったデータを送るとプリント基板になって届きます。

なーんにもプリントされていないまっさらな基板に転写したり穴を開けたりして自作する方法もあるんですよ。

さあ全てが並行してどんどん進んでいきます。

そして8月。ちょうど Maker Faire Tokyo 2019 へ出展のため来日していた Jimmiy へ、ここまで進めた最新のM5Stack用MIDIモジュール 2 サンプルを渡す。

 

M5Stackオフィスで、内部スピーカーの提案をもらう

11月🛫ふだん旅行もしないのに年に2回も深圳に行くとはそういう風の吹きまわしだったのでしょう、8ヶ月ぶりの中国… KFCのお粥が美味いんですよ…。

深圳では Maker Faire Shenzhen 2019 開催中。もちろん M5Stack社も出展していたので、見学がてらお互いの進捗&サンプル交換。

この時も前回同様メイカー対象のツアー参加。その中のさらに数人だけで、M5Stack新オフィス訪問をさせてもらいました。(その時の様子は→コチラもどうぞ)

necobit カワヅ👨‍🦲と M5Stack社CEO Jimmy Lai。赤丸は MIDIモジュール 2 のサンプル。
necobit カワヅ👨‍🦲と M5Stack社CEO Jimmy Lai。赤丸は MIDIモジュール 2 のサンプル。

ここで「ケース内側に空きあるからスピーカーつけちゃったら?」という提案が!

なるほどなるほど…💡

スピーカーつけるだけなら、アンプつなげば済む話なのですが。ラインアウトをつないでいる以上、そこにケーブルをつないだらスピーカーはミュートしたい。そんなわけで3.5mmイヤホンジャックをスイッチ回路付きのものに変更。

M5Stack用MIDIモジュール 2 。左側面にラインアウト、右側面にスピーカーがあります。
M5Stack用MIDIモジュール 2 。左側面にラインアウト、右側面にスピーカーがあります。

本当はさらに別のスイッチ搭載のジャックにしてアンプの電源も切れるようにしたかった…のですが基板スペースの問題で断念。

代わりに GPIO の HIGH , LOW でアンプのスイッチをオンオフする仕様としました。

この時点で、全体のレイアウトは決定!

自宅3Dプリンタケースから、M5Stack社製造の射出成形ケースへ

さて、上の写真の☝️ケース側面(コの字型に区切られている部分)は分割構造になっていて、接続するケーブルの穴サイズなどに合わせて色々とカスタマイズできる仕様です。そこは3Dプリンタで作ればいいか…💭などと考えてたら、

この部分も射出成形になりました!しかもM5Stackによる製造で!!!!何とこちらからまともな寸法図すら出さずサンプルを渡しただけで採寸までしていただいたという…。

MIDIケーブルのコネクタサイズに合わせた、カスタム側面部分。ベースのパーツにはめ込んでいくだけで組み立てできます。よくできてる。

🤔3Dプリンタと射出成形ってどう違うの?

M5Stack用MIDIモジュール、初期版(3Dプリンタ製)・2(射出成形) ケース側面比較
M5Stack用MIDIモジュール、初期版(3Dプリンタ製)・2(射出成形) ケース側面比較

☝️👨‍🦲3Dプリンタは樹脂を一筆書きに積層して立体を作っていきます。necobit 所蔵の3Dプリンタで生産速度とコストも踏まえた品質では、どうしても積層痕が見た目にわかるものになってしまいます。それが、M5Stack社の射出成形製造ではツルリとスッキリ✨

3Dプリンタはどんどん進化していますし、コストの面や量産数なども含めて考えれば、一概にどちらが優れていると決めつけられないですが…(その辺の一般的なところは→コチラ)。

ただ最近では、個人宅で射出成形機を導入する猛者メイカーも現れていますよ。

 

あとは基板に部品を取り付けて、組み立てて、発売!

中国のM5Stack社からどかっと送られてきた、共同開発製品になった MIDIモジュール 2 ケース部分。箱を開けた瞬間の感激…伝わりますでしょうか。

🤔組み立てって、ぜんぶ自分でやるの!?

☝️👨‍🦲場合によります。プリント基板製造のように、必要な部品実装や組み立てまで行うサービスを利用することもあります。手間と暇と品質とコストと販売価格を天秤にかけて、自分でやるか外部に発注するかを決めます。

というわけで、2020年3月末にめでたく発売🙌1年過ぎた現在でも人気商品です。

M5Stack用MIDIモジュール 2 についての詳しい製品情報・機能紹介・販売店についてはコチラ👇

necobit.com

 

自分の手を動かすCEO

M5Stack社の Jimmy は😊いつもニコニコ。中国でのオフィス訪問時、渋滞に巻き込まれて30分遅れてもニコニコ待っててくれて、necobit の話すつたない英語をニコニコ聞いてくれました。

回路、UI、筐体等々、設計開発の話になるといくら話しても話が尽きないほど楽しい時間を共に過ごせる人。

M5Stack社と Jimmy Lai についてもっと知りたい方はコチラもどうぞ👇

business.nikkei.com

 

🤔…あー終わる前にちょっと待ってKFCのお粥って

☝️👨‍🦲中国のKFCメニューにはお粥があるんです(細切れのフライドチキンがトッピングされているわけではない)。2019年の時点でスマホ注文方式がすっかり浸透。中国語どころかしどろもどろカタカナ英語の necobit でも無問題でした。

深圳・華強北で美味しかったもの記録はコチラもどうぞ

necobit.com

※ただし、1年以内にビルまるごと中身が入れ替わってるとか本当に変化のスピードが激しい都市なので、同じ店が今もあるかは分かりません※

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