『視えた音は弾かない宇宙的ライブ編曲方法』
2022年12月にオープニングアクトとして出演した、村上ユカ活動25周年&アルバム「宇宙的」発売記念ライブ 宇宙的〜cosmic explosion〜
necobit が演奏したのは…
-
RYDEEN〜東風/YMO
-
2510年宇宙の旅/necobit
-
銀河エレベーター/村上ユカ
この3曲すべてに共通点があります。
それは…
🎹👋鍵盤(楽器)を使わないで編曲をした
✖︎🐱楽器の上に乗ってはいけません
結果、どうなるのかと言うと…
-
音楽で作る世界がよくみえるようになる
-
MIDI自動演奏楽器の新たな能力を発見できる
…ま、音楽の作り方なんて人それぞれなので。 necobit はこんなだと言うお話です。
今回のニュースレター内容を、あ〜それそれ!それ!的確に言語化していた DOMi & JD BECK のインタビューなどから引用しつつ進めていきます。
鍵盤使わないでどうやったの?
🐱クリックでぽちぽちぽちぽち音符を入れていきました。
♪銀河エレベーター/村上ユカ 自動演奏 宇宙的ライブver. MIDIデータ
筋肉の記憶があるから、(楽器を使いながら作曲すると)自分が前に演奏したもの、演奏できるものを演奏しがち。それをしたくないから、自分たちの耳に聴こえてくるものじゃなきゃいけないと思っている。
🐱同じネタ使ってしまいがち問題だけではありません。
突然ですが一軒のラーメン屋では🍜基本のスープをひとつ作ってそこにしょうゆ/しお/みそ🍜などの味要素を追加して違いを出してるやり方があると思います。
楽器でコード(和音)を弾くとき「C」だったらど味噌…じゃなくてドミソ/ミソド/ソドミ。どれを弾いても間違いではなく「C」です。けれど、味はぜんぜん変わります。
え〜?そんなに〜? はい、そんニャに🐾
ためしに…きらきら星のメロディ✨ドドソソララソ〜 ファファミミレレド〜✨の最後のレレド〜だけ1オクターブ高くしてみてください。同じ「ド」でも高さが変わるだけで雰囲気を変えることができます。そんなだからもう、
自分が作りたい世界を描ける色は、ほんとうに今出したその音でいいのか。
この点はいつも集中していたいところ。
パッと思いついてパッと演奏したものって、いかにも自然に湧いて出てきたインスピレーションのようで…そうでないこともあります。25年ぶりにラーメンを食べることになっても🍜啜り方はきっと忘れてないように、筋肉に付いた癖というのはけっこう自動的で、発想とはまるでかけ離れたものを出力していることも時にはあると思います。
そこで手っ取り早い方法は、自分の筋肉による楽器演奏を経由しないでつくる。
脳から直接Sibelius、Logic、あるいはAbletonに入れて、MIDIを使って作業する。
📝引用のSibeliusは楽譜作成ソフト、Logic・AbletonはDAW(音楽制作ソフト)。ですが…使うものはなんでもいいのです。無料有料さまざまな音楽アプリから合うものを。紙に手書きだっていいですが、入力したものを即再生して客観的に確認できる方がオススメ。
編曲にどういう効果があったの?
まずそもそも『編曲(アレンジ arrangement)』するってことは元の曲があるということ。それに色付けて仕上げる作業。元が自分の曲でも他人の曲でも編曲作業は発生します。
📝上記ツイートリンクでは、5秒でなるほど💡動画が見れます。
他人の作品を編曲する場合、原曲(=元の曲)と異なる楽器を使うとなると、その楽器の特性(音色の味・出せる音の高さ・同時に鳴らせる音の数などなど)に引っ張られることになります。
この、楽器の特性🆚原曲らしさのバランス は🍜とある店のラーメンを食べて材料や製法を推考し自宅でチャレンジするにもいろんなタイプがあるように…冷蔵庫の中身だけでやる人・全国各地から材料をかき集める人・気がつけば独自路線になる人・偶然なのかなんなのか違う店の味になってしまう人…あらゆる方向に答えができる編曲の面白さのひとつです。
わかりやすい例がコチラ⚡️ツイートのリンクから動画がみれます。
ぽっぷ古楽でもライディーン!
プレクトラム・リュート、パイプ&テイバー(片手笛)とトライアングルの中世音楽隊で。
youtu.be/gwdoQl2g4Lg
片手笛が炸裂!
さて。宇宙的ライブの楽曲はどんな方向に転がったのか聴き比べてみましょう👂
🎶原曲
🎶necobitライブ演奏録音(ボーカルは村上ユカさん本人)
パッと聞いた感じ、原曲に忠実!ちゃんと耳コピしてる!と思われた方が大多数になるかと思います。が、
記号で音楽を見ない、響きの先に広がる色が同じかどうかで決める
通常は採譜(コード進行やメロディなど曲の材料をきちんと確認する作業)から始めてそれを基に料理する🔪💭ところを、元の音楽をいきなり記号化しないで作りました。
―頭の中にあるものを出力するということですが、頭の中ではどういう感じで音楽が鳴っているんですか。譜面とか映像とか……。JD:音かなぁ。ドミ:私は色。実際にある青とか赤とかそういうのではないけど。異なるテクスチャーの音楽っていうか……。
🐱「音に色」それは共感覚の人に限って起こることではないのです。色というかなんというかまあ例えて言うなら色…そういう人もいるんです(ドミがどっちなのか知らんけど一般的にそういう人多いんじゃないかな)。文字だけの小説を読みながら行と行の間あたりにストーリーの情景を見ているような感覚。
難しい話になってきた?そんなことはニャイ🐾
ダンボール箱を船や戦車にしたり、トイレットペーパーの芯をバズーカ砲にして遊びませんでしたか❓みんなで遊んでいる時はみんなで同じ世界を見ていませんでしたか❓そういう感覚です。
そうやって、音楽で作った世界をみんなでみることができます。
音楽は、ダンボール箱やトイレットペーパーの芯ほど具体的なカタチをしていないので、まず作る側が的確にやらなければ伝わりません。
今回の自動演奏ライブ用編曲では『原曲に見たものをMIDI自動演奏楽器の音で出せるか』。冷蔵庫にあるものでとあるラーメン屋の再現レシピがどこまでできるか方向です🍜
-
頭の中で鳴った音を、各パートごと(MIDI自動演奏グロッケン/ピアニカ/ゴムベース/打楽器)に分けてパソコンのDAWに入力する
-
ごく短い範囲、1小節・1フレーズごとに原曲と聴き比べる
-
同じ色?景色?になってなかったら入力したどの音が違うのか探って考え直す
具体的な手順はこんな感じ。
さて。お気づきでしょうか❓上記のリンク necobit 自動演奏バージョンをお聞きになって👂作曲者本人に怒られそうなくらいコード(和音)やスケール(音階)にそぐわない有り得ない音も含まれていることに。
どれくらいの有り得なさかと言うと🍜刀削麺と二郎は同じラーメンですねって言われた瞬間のモヤっとする感じくらいかな🐱
これは前述の楽器の特性🆚原曲らしさのバランスとも大きく関わっています。次項で掘り下げてみましょう。
自動演奏楽器の制約を音楽理論で縛らない
necobit MIDI自動演奏楽器。左:おもちゃグロッケン&キャットボット太鼓 中:鍵盤ハーモニカ&送風ファン 右:ゴムベース2019 👨🦲全て元の楽器に傷付けることなく自動化しています。取り外せば人間が普通に演奏できます。
ご覧の通り👀necobit MIDI自動演奏楽器は、もともと人間が演奏する為に作られた市販の楽器です。楽器の周りに機械的機構(人間の指や息などに相当するパーツ)を取り付けて自動化しています。
音域(鳴らすことができる音程の範囲)に関しては、ゴムベースが1オクターブ半、鍵盤ハーモニカとグロッケンにいたっては2オクターブあります。ピアノを両手で演奏する時によく使われる音の範囲をこれら3つの楽器だけでカバーできててとっても使い勝手が良い…
necobit MIDI自動演奏楽器 音域表 2023.01版
と言いたいところですが。
自動演奏鍵盤ハーモニカは人間が吹く3倍くらいの爆音と音圧で、グロッケンのキラキラ金属音の芯にある音程感(今鳴らした音はドなのかレなのかなんなのかわかる音成分)を吹き飛ばしてしまう🌬✨という問題点があります。
グロッケンが何やってるかわかりにくくなりがち。さてどうすんべ🐱
こういう時たとえば鍵盤ハーモニカはシンプルな純粋な響きの和音(ドミソ〜とかファラド〜とか)にして、グロッケンはここぞ!な箇所だけでキラキラリンと登場する。といった編曲にすれば家系ラーメンの隣が中華そばでも🍜互いに干渉しない構成が無難に作れます。
JD:みんなもっとプラクティカルっていうか、脳を使っているっていうか……たとえばソロをやっているときに「こういう演奏をしなければいけない」なんてどこにも書いてないよね。それなのにジャズのライブに行くと、ベースがソロを始めるや否やピアノが止まるか、静かになってドラマーがハイハットしか叩かなくなる。何でそんなことをするのって思うんだよね。僕はそんなことをしたくない。誰かがソロのときも、みんなもっとソロの周りで演奏しようよ、一人に物語を語らせるのではなく、みんなで手伝おうよってね。
🐱いわゆる世の中の定番なやり方だって悪くないですよ。それで作りたい世界が聞き手にちゃんと見えてくるならば。
自動演奏楽器どうしが干渉しない無難な編曲にする=シンプルな和音だけを使う、、どうしても採譜した楽譜あるいはコードネームを基準値に据えて作業してしまいがち。ドって書いてあるからドを使う、Cって書いてあるからドミソを使う、、
ドミ:アートに関するルールなんて作れるわけがない、それに尽きると思う。自分の耳を使って、その瞬間にうまくいく術を見出さないと。繊細さについて答えると、演奏中は自分たちでも考えていないはず。「ここはこうしないと」なんて考えていない。だから、ルールもなければ秘密もない。やらなければならないことをやっているだけ。曖昧な言い方だけど、そういうものなんだよね。
🐱楽譜などの記号化された音楽から入るか、音だけの音楽から入るか、他にもアプローチの方法はたくさんあるでしょう。とにかく今作ろうとしているものを現実に掴み出す最良の方法から入ろう。
ここで necobit の実例をひとつ。わかりやすくMIDIデータの再生でお見せします。
♪銀河エレベーター 歌2番に入る前の間奏部分。画面の赤い音=グロッケンの音にご注目ください👀30秒の動画です。
動画前半が原曲を採譜した場合に記される音だけを使った編曲、動画後半が necobit が原曲を聴いたときにみたものを自動演奏楽器の音で表した編曲、です🐱
銀河エレベーター原曲のあの感触…そう、音色やノリよりも感触の方なんです。その音楽を聴いた瞬間に想起されるなにかの方です。出てましたでしょうか。
📝ちなみに銀河エレベーター(の原曲)は6回以上リピート再生してるうちに歌詞が脳内で映像化して音と交じった瞬間からが真の姿だと思ってます。
集中力の使い方
さいわい、necobit は自動演奏楽器を使うので、頭に浮かんだ音が自分の演奏技術をどれだけ超えていても鳴らすことができます。(機械が壊れない限り)
今回の脳から直接編曲方法は、もちろん作曲でも同様に使えます。どっちにしろ集中力、特に瞬間的な集中力があればあるほど掴み取りやすくなります。
宇宙的ライブの編曲作業の時(2022年11月)は、3週間毎日一日中脳みそ沸かしてやっていたのですが🧠♨️
JD:練習するときは200%で練習して、結果を手に入れるためにものすごく集中して、できる限りのベストを尽くしているからだと思うんだ。ドミ:ゴールがあるからね。JD:そうそう、ゴールがあることが重要なんだ。
なるほどそりゃそうだと膝ポンし、年の初めにさっそく、30〜90分集中作業→特に時間は決めずに他のことをするの繰り返しで、楽器を経由せずに脳から直接KORG Gadget 2で曲を作ってみました。
ゴールつまり「ここのリズムを直そう」とか「音色もうちょっと変えてみよう」とか小出しな具体的目標を、作業前ではなく次の作業目標として決めておくと、作曲と関係ないことをしている間に無意識的にアイデアがモヤモヤとしてくるらしく、作業開始時からブーストかけられるようになりました。これはとても収穫🐱
今後の necobit MIDI自動演奏楽器の音楽にも、新たな変化が作れそうな予感です。
✉️ ご意見・ご質問を necobit に送る✉️
-
匿名で送りたい方はコチラ👇
-
ツイッターで送りたい方はコチラ👇
-
メールで送りたい方はコチラ👇
それでは次回のねこびっと通信まで、お楽しみに
necobit
すでに登録済みの方は こちら